HAYABUSA INC.
Slack活用

Slackの絵文字だけで承認を回す — 管理画面を作らない仕組みの設計

結論: 承認は専用画面を作らず、毎日触るSlackの絵文字1つに寄せる

AIに下書きまで任せると、次に要るのは「これで進めていい」と承認する仕組みです。ここで多くの人が、承認の状況を一覧する専用の画面やツールを用意しようとします。弊社も一度そう考えました。ところが、新しく覚える場所は、結局ほとんど開かれません

弊社の失敗は、承認のためだけの新しい入口を作ろうとしたことでした。人は毎日開く道具しか習慣にしません。専用の画面は初日に一度触られて、あとは確認が溜まっていく。そこで発想を変え、誰もが毎日触っているSlackの絵文字リアクションに承認を寄せました。新しい操作を覚えず、いつものチャットで絵文字を1つ付けるだけ。これで承認が実際に回り始めました。この記事では、絵文字だけで承認を設計する考え方と、そこで守っている線引きを、自社で運用して分かった範囲で開きます。

なぜ承認のために新しい画面を作ると、使われないのか?

答えを先に言うと、新しい入口は学習コストがかかり、毎日は開かれないからです。どんなに整った管理画面でも、そこを見にいく習慣がなければ確認は溜まります。承認が滞る原因は、承認する人の怠慢ではなく、承認する場所の置き場所にありました。

承認のために専用の管理画面を作ると使われず、毎日触るSlackの絵文字に寄せると使われる、という置き場所の違いを対比した図解

弊社が乗り換えたのは、すでに毎日開いている道具の上に承認を載せるという考え方です。Slackは連絡のために1日に何度も開きます。その同じ画面で、AIが出した下書きに絵文字を1つ付ければ承認になる。新しい習慣をゼロから作る必要がありません。道具を増やすのではなく、いつもの道具に役割を1つ足す——これが、承認が続く一番の理由でした。

絵文字で、承認の状態をどう表すのか?

弊社は承認の進み具合を、決まった絵文字の並びで表しています。AIがまず下書きを出し、人がそれを見て、進めてよければ承認、というひと続きを、いくつかの絵文字に割り当てました。

AIが下書きを出してから承認・完了に至るまでの流れを、確認・承認・完了・保留・差し戻しの絵文字で表した状態遷移の図解

流れはこうです。AIが「やりますか」と下書きを提示し、人が中身を確認したら👀、これで進めてよければ👍、作業が終われば✅を付けます。すぐ判断できないものは⏳で保留、直しが要るものは⚠️で差し戻す。絵文字が1つ付くたびに、次に誰が何をするかが決まる。状態を言葉で説明し合わなくても、並んだ絵文字を見れば進み具合が分かります。ここはSlackを通知やAIの受付として使う設計と地続きで、SlackをAIの受付にした話にも通じます。

この仕組みで、何が反転するのか?

反転するのは、人とAIのどちらが先に動くかです。ふつう承認は、人が「何か承認するものはないか」と探しにいくところから始まります。この仕組みでは逆で、AIが先に下書きを出して「やりますか」と持ちかけ、人は絵文字で答えるだけになります。

探しにいく手間がなくなると、承認は驚くほど軽くなります。とはいえ、これを成り立たせているのはAIの賢さではなく、通知の設計です。承認を求める合図が他の連絡に埋もれれば、この仕組みは止まります。だから弊社は、承認待ちの通知を他の連絡と混ぜない場所に流しています。通知の宛先を役割で分ける考え方はSlack通知設計の3原則に書きました。

絵文字1つで、どこまで実行してよいのか?

ここが最も大事な線引きです。絵文字1つで実行まで進めてよいのは、後戻りできる作業だけにしています。調べもの・整理・分類・下書きの作成など、間違えてもやり直せる作業は、絵文字の承認でそのまま実行させます。

絵文字で承認して即実行してよい後戻りできる作業と、絵文字が付いても自動実行させず人が画面で最終確認する後戻りできない操作を、絞り込みの段階で分けた図解

一方で、送信・お金の支払い・公開・削除といった、取り消せない操作は、絵文字が付いても自動では実行させません。これらは👍が付いていても、人が管理画面で最終確認してから手で実行します。便利さに寄せてこの線を絵文字の内側に入れてしまうと、一度の付け間違いが取り返しのつかない事故になる。だから弊社は、「Slackで全部完結する」とは、あえて書きません。できない部分・人に残している部分を正直に線として持つほうが、結果として安心して使える仕組みになります。何を任せ、どこで人が確認を挟むかの全体像はチャットでAIに仕事を頼めるようにした話でも触れています。

明日から試せる、絵文字承認の第一歩

読んで終わりにしないよう、今日ひとりでできる一歩に落とします。承認したい定型作業を1つ選び、そこに**「確認した」「承認」「完了」の3つの絵文字を決める**ところから始めてください。新しいツールは要りません。いつも使っているチャットの絵文字を、意味のある合図として決め直すだけです。

最初から全部の作業に広げる必要はありません。1つの作業で絵文字の承認が回り始めたら、後戻りできる作業から少しずつ増やす。取り消せない操作だけは、絵文字の外に残す——この線さえ守れば、承認は毎日の絵文字1つに収まっていきます。

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