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AI活用

AIの文章が不自然で使えない——直すのは言い回しではなく素材

結論: AIの文章が不自然なのは、書き方ではなく渡した素材が空だからです

AIに書かせた文章が不自然になるとき、原因は文章力ではありません。書く材料を渡していないので、AIが空いた場所をもっともらしい話で埋めている。それだけです。

私たち株式会社隼も、自社のブログをAIに書かせ始めたときに同じ失敗をしました。「もっと自然に」「硬いので柔らかく」と指示を言い直しても、不自然さは消えませんでした。消えたのは、実際に自分たちの会社で起きたことを先に渡すようにしてからです。

以下は、私たちが自社の記事づくりで実際に踏んだ失敗と、そこから決めた3つの見分け方です。文章の書き方の話ではなく、渡す素材の話として書いています。

なぜAIの文章は「それっぽいのに嘘くさい」のか?

答えを先に言うと、AIが埋めているのは事実ではなく「起きそうなこと」だからです。

私たちが最初に生成させた記事は、冒頭に「会計の画面を開いたら売上が立っておらず動揺する経営者」という場面が置かれていました。文章としては読めます。ただ、経営者は自分の会社の売上をおおよそ体感で把握しています。画面を見て動揺する場面は、実際にはほとんど起きません。社内の確認でそこが止まり、記事は全面的な書き直しになりました。

問題は表現ではありませんでした。冒頭に置く材料を、誰も渡していなかったことです。**AIは空欄を空欄のままにしません。**渡されなければ、それらしい場面を自分で作って埋めます。

そこで入口のルールを1つ決めました。記事の冒頭には、読者が実際に踏む場面と、実際に検索する言葉しか置かない。作った場面・伝え聞いた小話は使わない——書き出しの自由度を捨てた代わりに、嘘くささはここでほぼ消えました。

不自然さは、素材のどこから生まれるのか?

私たちは書かれた文を2つの軸で仕分けています。1つ目は「実際にあったこと」か「もっともらしいだけ」か。2つ目は「具体的」か「一般的」かです。

AIが書いた文章を、実際にあったことかもっともらしいだけかという軸と、具体的か一般的かという軸の2つで仕分け、もっともらしくて具体的な文が最も危険であることを示した4象限の図

最も手が要るのは、もっともらしくて具体的な文です。読みやすく、細部まで書かれていて、根拠だけがない。会社名義で出す文章では、これが一番危ない場所になります。反対に、実際にあったことでも一般的なままなら、薄いだけです。具体に戻せば使えます。

つまり直す順番は決まっています。**まず本当にあったことかを確かめ、そのあとで具体に戻す。**言い回しを整えるのは最後です。ここを逆にすると、きれいな文のまま中身が空という状態が残ります。

中身が薄いかどうかは、どう見分けるのか?

私たちが使っているのは「消しゴムテスト」と呼んでいる確認です。段落から「弊社は」「私たちは」を消して読み直し、それでも文章が成立するなら、その段落は一般論と判定します。自社にしか書けない中身が入っていれば、主語を消した瞬間に文が立たなくなります。

弊社はという主語を消しても成立する一般論の段落と、主語を消すと文が立たなくなる自社固有の段落を並べ、消しゴムテストの判定基準を示した比較図

背景の説明が一般論になるのはかまいません。ただし同じ節の中で「弊社でも同じ順番で失敗しました」と、自社の足跡に着地させます。一般論だけで終わる節が1つでもあれば、その記事は書き直しにしています。

この判定は記事だけの話ではありません。AIに会社紹介の資料を作らせたときも、埋まっていない数字はAIに書かせないと先に決めました。詳しくは会社紹介の1枚をAIで作ったときの記事に書いています。素材が無い場所をAIに任せると、体裁だけが先に完成してしまうからです。

言い回しの癖は、どうやって潰すのか?

3つ目の失敗は、この確認を目視でやっていたことです。読み返して「たぶん残っていない」と判断していました。実際には残っていました。

いま私たちは、使わない言い回しを一覧にして、提出の前に機械で検索しています。対象はひらがなで書いた序数・誇張の副詞・締めの決まり文句・半角の記号など、AIが何度も戻してくるものです。**自分が書いた文章に対して、人の目は甘い。**検索して0件になるまで直します。

AIの文章に出る冒頭が嘘くさい・中身が薄い・言い回しが幼いという3つの症状について、原因と直し方を並べて示した比較表

3つの症状は、直す場所がそれぞれ違います。冒頭が嘘くさいのは素材が無いから、中身が薄いのは主語が消せてしまうから、言い回しが幼いのは検査していないから。**同じ「不自然」でも、指示を足して直るものは1つもありません。**素材を渡すか、判定を機械にするかのどちらかです。

なお、この一覧は最初から完成していたわけではありません。手直しのたびに1行ずつ足してきました。AIとの仕事は、指示の巧みさより、こうした積み上げの置き場所で差が付きます(AIへの指示をどこに置くかの記事)。

明日からの一歩

直近でAIに書かせた文章を1本開き、「弊社は」「私たちは」を消して読み直してみてください。それでも成立してしまった段落に印を付けます。

そのうえで、印を付けた段落について、実際に自社で起きたことを3行だけメモに書き出し、AIに渡し直します。「いつ・何をしていて・何が起きて・どう変えたか」の順で構いません。文章の指示を増やすより、素材を1行渡すほうが速く直ります。

3行が書けない段落は、まだ書く時期ではないというサインです。私たちはその場合、記事ごと見送っています。

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