HAYABUSA INC.
AI活用

会社紹介の資料が無い——AIで作る「1枚」に載せる4項目

結論: 引き合いが増えて最初に要るのは、提案書ではなく「1枚」です

相談や引き合いが増えてくると、必ず資料の話になります。私たちが最初に用意したのは、ページ数のある提案書ではありませんでした。相手が数秒で「何者か」を判断できる1枚です。載せる項目は①コンセプト②実績③想定顧客④提供メニューの4つに絞り、下書きはAIに作らせて各現場が自分で仕上げる形にしました。ただし決めごとが1つあります。埋まっていない数字はAIに書かせない。ここだけは先に固定しました。

なぜ立派な提案書より「1枚」なのか?

答えを先に言うと、紹介の資料が読まれる場面は、読み込む場面ではないからです。渡した資料は、たいてい受け取った担当者が社内の別の誰かに転送する形で回ります。転送された側は前後の経緯を知りません。開いて数秒で、話を進める相手かどうかを決めます。ページ数のある提案書は、この数秒に耐えません。

私たちも案件ごとの提案用スライドは作っています。ただしそれは商談が始まってからの道具です。引き合いの入口で要るのは、まだ商談になっていない相手に転送されても意味が通るもの。用途が違えば資料も別物だと割り切って、2種類を分けました。分けるまでは、提案用の資料を短くして使い回そうとして、結局どちらの用途にも中途半端なものになっていました。

社内にある情報を、相手が判断に使う4項目まで絞り込み、最後に1枚へ残す流れを示した図。言いたいことを全部載せる方向とは逆に、削って残す設計であることを示している

1枚に載せるのは、どの4項目か?

答えを先に言うと、①コンセプト②実績③想定顧客④提供メニューの4つです。この順に並べると、相手は「何をしている会社か」「実際にやったことがあるか」「自分に関係があるか」「頼むと何が出てくるか」を上から順に確認できます。

難しいのは載せるものを選ぶことではなく、載せないものを決めることです。沿革・理念・関わっている全員の紹介・過去の全実績は、どれも会社にとっては大事ですが、数秒で判断する相手の役には立ちません。網羅すると1枚の意味が消えます。私たちは、迷った項目は載せない側に倒しています。足りなければ聞かれるので、聞かれてから2枚目を出せば足ります。

紹介資料の1枚に載せる4項目を並べた図。コンセプト、実績、想定顧客、提供メニューの4つで、相手が上から順に判断できる並びになっている

AIに下書きさせるとき、弊社が最初に決めたこと

答えを先に言うと、確認できない項目をAIに埋めさせないことです。理由はシンプルで、資料は相手が判断に使うものだからです。空欄は「まだ決まっていない」と正しく伝わります。ところが、もっともらしい数字が入っていると、相手はそれを事実として受け取ります。埋まっている資料のほうが、空欄のある資料より危ないという逆転がここで起きます。

実際に最初の資料を作ったとき、価格が社内で確定していませんでした。文章の流れから金額らしきものを組み立てること自体は、AIにとって難しくありません。私たちはその項目を埋めるのではなく、ページごと外して出しました。連絡先も、確定していない段階では仮の印だけを残しました。以後、資料を作らせる指示には「数字・実績・価格・連絡先は、確認できないものを書かない。分からないものは仮の印にして報告する」という一文を固定で入れています。

これは資料に限った話ではありません。私たちは、任せる前に合格条件を文章で決めるようにしています(AIへの指示は「やっといて」ではなく合格条件から決める話)。同じ理由で、外に出る言葉は必ず事実と突き合わせてから確定します(表紙の言葉を台本でなく収録と照合する話)。AIに書かせてよいのは表現で、事実を確定するのは人という線は、社外に出る資料ほど厳格にしています。

AIの下書きをそのまま出す場合と、事実だけ人が確定してから出す場合を並べた比較図。前者は未確定の価格や実績がもっともらしく埋まり、後者は未確定の項目が仮の印のまま残る

型を1つ作って配ると、何が変わるのか?

答えを先に言うと、更新が現場で回り始めます。私たちは色・書体・見出しの作法を1箇所にまとめ、資料はその型から作る形にしました。型があると、作る人が変わっても見た目と項目の並びが揃います。逆に型が無い状態で各自に任せると、出来のばらつきがそのまま会社の印象のばらつきになります。

効きが大きいのは、実は作るときより後です。人が入れ替わる、メニューが増える、実績が1つ足される——紹介資料はこうした小さな更新が絶えず発生します。外に頼んでいると、この小さな更新のたびに待ちが生まれ、待つくらいならと古いまま使われます。現場が自分で直せる形にしておけば、更新は数分で終わります。資料の価値を決めるのは作った日ではなく、最後に直した日です

もう1つ決めたのは、渡し方まで型に含めることです。作った資料をフォルダに置いて終わりにすると、渡す段になって毎回やり方が変わります。私たちは共有用の資料はリンクの形にして渡すと決めました。作るところまでを型にして、届くところを個人の工夫に任せていた時期は、結局そこで止まっていました。人に任せず仕組みに乗せる線引きの考え方は、AIに勝手にやらせない操作を先に決める話にも書いています。

明日から試せる一歩

今日ひとりで、白紙1枚に4項目を箇条書きで書き出してみてください。コンセプト・実績・想定顧客・提供メニューの4つだけです。デザインは後回しで構いません。書いてみると、たいてい実績の欄で手が止まります。そこが埋まらないことが分かるのが、この作業のいちばんの収穫です。

そのうえで、埋まらなかった項目は空欄のまま残します。仮の数字を入れて形を整えたくなりますが、そこを埋めた瞬間に、この1枚は判断材料ではなく宣伝物に変わります。事実が先で、体裁は後。順番はこれだけです。

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