AI活用AI活用事例 #14

AIの「できました」が信用できない——合格と中身は別に確かめる

隼 編集部

YouTube運用とAI業務支援の担当

AIの「できました」が信用できない——合格と中身は別に確かめる

結論: 完了の報告は「確かめた範囲」とあわせて受け取ります

AIの「できました」は、中身が正しいという意味ではありません。合格の報告が示すのは、AIが見た項目に問題がなかったことだけです。私たちは、検査が通っても出来上がりを開いて目で見ることにしました。

きっかけは2つの失敗でした。1つ目は、検査に合格した成果物の中身が消えていた件。2つ目は、終わったはずの処理がパソコンに200個近く残っていた件です。どちらもエラーは出ていません。報告の言葉だけを読めば順調でした。

この記事では、報告を出す前にAIが実際に見た項目を「確かめた範囲」と呼びます。合格の一言には、見ていない項目が残ります。残った項目は、人が開いて確かめるしかありません。

検査に合格・仕事が終了・仕組みを作成という3つの報告について、報告が示したことと見ていなかったことを並べた比較表の図解

検査に合格したのに、なぜ中身が消えていたのか?

答えを先に言うと、検査が見ていたのは決まった項目だけだったからです。中身が消えているかどうかは、その項目に入っていませんでした。

弊社では、動画に入れるアニメーションをAIで作っています。その日の作業場所は、クラウドと自動で同期しているフォルダの中でした。途中でフォルダを作り直したところ、同期の途中だったファイルが別の名前の「競合コピー」に変えられました。本体の中身は消えていました。

AIが最後に走らせた自動の検査は「問題なし」でした。検査は通った。それでも中身は空です。AIが偽りの報告をしたわけではありません。検査が、決まった項目しか見ていなかっただけです。

直したのは2か所です。1つ目は作業場所で、AIへの指示書に「作業用のフォルダは、同期しているフォルダの外に置く」と書きました。2つ目は受け取り方です。検査が通っても、出来上がったものを実際に開いて確かめる。この確認は人の仕事として残しています。

同期しているフォルダの中で作業していたときと、作業場所を同期の外に移して検査のあとに開いて見るようにしたあとを対比した図解

「終わりました」「作りました」も同じ形で外れるのか?

外れます。弊社では、仕事の後始末で同じことが起きました。仕事が終わったという報告は、パソコンの中まで片付いたという意味ではありませんでした。

弊社は、決まった時刻に動く自動の仕事を数多く走らせています。十数分おきにチャットを見に行く仕事もその1つです。自動の仕事が1回動くたびに、パソコンの中でAIの処理が1つ立ち上がります。本来は、仕事が終わればその処理も終わるはずでした。実際には終わらずに残り、積み上がって200個近くになっていました。メモリの4分の3ほどを使い、パソコンは重くなって最後は固まったのです。

対策として、終わった処理を定期的に片付ける仕組みを作りました。ここに2回目の失敗があります。その仕組みは、パソコンの権限の都合で動いていない時期がありました。片付ける仕組みがあるから大丈夫だと考えていたら、その仕組みが止まっていた。

学んだのは2つあります。1つ目は、自動化を増やしたらパソコンの中に何が残っているかも見ること。2つ目は、見張りや片付けの仕組みを作ったら、それ自体が動いているかも確かめることです。「作りました」も、「できました」と同じ種類の報告でした。

見張りが止まっていることに気づけない問題は、沈黙を時刻で見分ける記事で詳しく書いています。あわせて読むと、後始末の確認をどこに置くかがつながります。

対策を1種類にしなかったのはなぜか?

理由はシンプルで、指示書に書いた決まりは必ず守られるとは限らないからです。弊社は対策を①AIへの指示書に文章で書く②実行する直前に機械的に止める③おかしなことが起きたら人に知らせる、の3種類に分けています。

指示書に書いたことは、AIへのお願いです。作業用のフォルダの置き場所は①にあたります。だから文章の決まりだけで終わらせず、出来上がりを開いて見る確認を人に残しました。お願いと確認を別々に持つ形です。

文章の決まりが守られないときに何を機械へ移すかは、実行の入口で止める記事に分けて書きました。自分以外の人にAIを渡したときの完了報告の扱いは、触れない範囲を先に閉じる記事で触れています。

今日からできる最初の一歩

まず、AIに作ってもらった直近の成果物を1つだけ開いてみてください。見るのは出来の良し悪しではありません。中身が入っているかどうかです。

次に、AIが「できました」と言ったら、その検査で何を確かめて、何は確かめていないかを書いてもらいます。確かめていない項目が返ってきたら、そこが人の見る場所です。作業用のフォルダは、最初に「同期しているフォルダの外に作って」と頼んでおけます。

自動の仕事を動かしている場合は、パソコンで動いている処理の一覧を開き、AIの名前で検索してみてください。いま動いている仕事の数よりずっと多く並んでいたら、終わった処理が残っているかもしれません。AIに「終わった処理が残っていないか毎日数えて、多ければ知らせて」と頼めば、見張りの作成を手伝ってもらえます。作ったあとは、本当に数えて知らせてくるかまで確かめてください。

事故をゼロにはできません。弊社でも、片付ける仕組みが止まっていた時期がありました。それでも、起きたときに早く気づくことはできます。

AIの完了報告を受け取るときに確かめる4項目を並べた図解。成果物を1つ開く、確かめた範囲を聞く、残った処理を数える、見張りが動いているかを見る

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