結論: 乗り換えるかではなく、仕事ごとの担当を「試し比べ」で決めます
生成AIを2つ使うときに決めることは2つです。頼む窓口を1つにすること。担当を評判ではなく「試し比べ」で決めること。弊社はこの2つで運用しています。
「試し比べ」は、同じ仕事を同じ指示で両方のAIにやらせて、かかった時間と仕上がりを見比べることです。弊社は別々の会社が作った生成AIを2つ契約しています。新しいAIが出るたびに、乗り換えたという話が気になっていました。いまは乗り換えていません。得意な仕事が違うので、役割で分けました。
この記事では、比べた結果、比べ方で間違えかけた点、窓口を1つにした理由、権限の渡し方を順に書きます。作ったAIとは別のAIに確かめさせる話は、公開前の二重チェックの記事にまとめています。
どちらのAIに頼むかは、何で決めればいいのか?
答えを先に言うと、自社の仕事でやらせてみた結果です。弊社は動画づくりの仕事を3つ選び、同じ指示書と同じ決まりで、2つのAIに1回ずつやらせました。
1つ目は動画に入れる立体の題字です。片方のAIは倍ほど時間がかかりましたが、文字が中央に収まり、色もきれいでした。もう片方は速い代わりに、文字が少し上に寄って暗い仕上がりでした。2つ目は字幕の動きを作る仕事です。見た目はほぼ同じで、時間には数倍の差が出ました。3つ目は編集ソフトに素材を読み込んで並べる仕事で、これも速さに差が出ています。
この結果で担当を決めました。見た目の作り込みが大事な仕事は時間をかけたほうのAIに、決まった形で速さが大事な仕事は速かったほうのAIに頼んでいます。
ただし、比べたのは1回ずつです。3つ目の仕事では、速かったほうだけソフトが先に起動していました。条件がそろっていなかった。たまたまの差かもしれないので、同じ種類の仕事が増えたら比べ直します。

1回うまくいかなかったら、そのAIは苦手と決めてよいのか?
弊社は決めていません。同じAIでも、頼み方を変えると結果が変わったからです。
以前、動画の表紙にする画像を、片方のAIにプログラムで描かせたことがあります。背景や文字の飾りは工夫されていました。ところがマスコットのキャラクターを丸や三角の図形で描き直してしまい、別のキャラクターに見えた。そのときは使いませんでした。
いま使っているのは、同じAIの中にある画像を作る機能です。物語の場面の画像を何枚も作る仕事で、それまでの作り方と同じ指示を渡して比べました。キャラクターの見た目がそろい、明るくて見やすい仕上がりでした。いまは画像づくりの基本をこの機能にしています。
「このAIは画像が苦手」と1回で決めていたら、この担当は生まれませんでした。 「試し比べ」は、AIどうしだけでなく、同じAIの別のやり方の間でも行っています。
AIを2つ使うと、何が面倒になるのか?
頼む人の手間が増えます。弊社でも、同じ説明を2回する、どちらに何を頼んだか分からなくなる、結果が2か所に散らばる、の3つが起きました。
そこで、作る仕事と直す仕事を頼む相手を片方のAIだけにしました。これが窓口です。窓口のAIが、その仕事をもう片方に回すかどうかを決めます。もう片方は裏方として作業します。
戻るときも窓口を通します。裏方のAIの結果は、そのまま代表に届きません。窓口のAIが、直した中身や書き出した画像を先に確かめてから報告します。人が覚えておくのは窓口1つだけになりました。 毎日の頼みごとで、どちらに頼むかを考えることはなくなっています。

窓口のAIと裏方のAIで、仕事をどう分けているのか?
外に何も送らず、ファイルの中で終わる重い作業を裏方に回しています。たくさんの資料を読んで調べる、プログラムを書く、作業の後片付けをする、といった仕事です。見た目を作り込む仕事と画像づくりも裏方の担当です。
窓口のAIに残した仕事は3つあります。①日本語の文章②社内で使っているサービスとの連携③社外への送信・公開・お金・削除に関わる操作と個人情報です。文章を残した理由は、代表の好みとこれまでの指摘を覚えているのが窓口のAIだからです。
③は裏方のAIに渡しません。窓口のAIも、代表の確認か、前もって代表が決めた条件を通してから進めます。速さや出来ばえで担当を分けるのは、やり直しがきく仕事だけです。

裏方に回した仕事が止まったら、どう気づくのか?
1件ずつ作業の記録を残して、気づけるようにしています。裏で動かす仕事は、止まっても画面に出ません。
記録に書くのは、何を頼んだか、いまどうなっているか、結果は何かの3つです。途中で止まった仕事は、一覧に「途中で止まった」と出ます。代表が窓口のAIに進み具合を聞くと、窓口のAIはこの一覧を見て答えます。
AIの報告をどこまで信じるかは、完了の報告が示す範囲の記事に書きました。裏方に回すほど、人から見えない仕事が増えます。弊社は記録の置き場所を決めてから、裏方に回しています。
AIにできることを増やすとき、先に何を決めるのか?
戻す条件です。弊社は、権限を渡す前に「何が起きたら元に戻すか」を決めました。
裏方のAIが作業する場所では、最初、立体の映像を作るソフトが起動してすぐ落ちていました。画面を描く部品が使えなかったためです。そのときは裏方のAIに手順だけを書かせ、窓口のAIが中身を確かめてから、代表のパソコンで実行しました。
その後、裏方のAIがパソコンの上でソフトを直接動かせるようにしました。決めたのは代表です。条件は①作業用のフォルダの外に書き込まない、消さない②外には何も送らない③ほかの仕事のファイルには触らない、の3つです。
1回でも破ったら権限を元に戻す。ここまで決めてから渡しました。どこまで渡すかを決めるのはAIではなく人です。 人にAIを渡すときに範囲を先に閉じる話は、触れない範囲の記事に書いています。
まだできていないことは何か?
「試し比べ」の回数が足りていません。担当を決めた比較は、仕事ごとに1回ずつです。弊社の中でも、この分け方の確かさは中くらいと見ています。
比べ直す時期も決めきれていません。いまは、同じ種類の仕事が増えたら比べ直すという決めだけです。AIの側が新しくなったときにどうするかは、これから決めます。
明日から試せる一歩
次にAIに頼む仕事を1つ選び、指示を文章にして残してみてください。口頭で言い足した条件も、その文章に入れておきます。
その文章を、そのまま2回使います。手元にAIが2つあれば両方に渡します。1つしかなければ、同じAIの別のやり方に渡してください。たとえば図を作る仕事なら、プログラムで描かせる方法と、画像を作る機能を使う方法の2つです。
かかった時間と仕上がりを、1行ずつ書き留めます。1回の結果で担当を決めきる必要はありません。同じ種類の仕事が次に来たとき、もう一度同じ文章で比べると、差がたまたまかどうかが分かってきます。