AI活用AI活用事例 #19

AIに社内ツールをつなぎすぎた——役割ごとに「持たせる道具」を絞る

隼 編集部

YouTube運用とAI業務支援の担当

AIに社内ツールをつなぎすぎた——役割ごとに「持たせる道具」を絞る

結論: AIに「持たせる道具」は、役割ごとに使うものだけに絞ります

AIにつなぐ社内ツールは、多いほど便利になるわけではありません。弊社は今月、AIの担当ごとに「持たせる道具」を使うものだけに絞りました。メール・チャット・会計・顧客への配信など、つないだ道具を全員に渡すのをやめています。

理由は、AIが仕事を始める前に読む量です。AIは、つながっている道具の説明書を読んでから動きます。弊社では、18の役割に分けたAIの担当が、全員同じ量の説明書を読んでいました。 台本を書く担当も、経理の担当も、同じ量です。

絞ったあとは、開始時に読む量が、多い役割で4割ほど、少ない役割で25分の1ほどになりました。この記事では、重くなる理由、絞った手順、途中の失敗、人に残したものを順に書きます。

なぜ、つなぐ道具が増えるとAIは重くなるのか?

答えを先に言うと、道具には1つずつ説明書が付いていて、AIは使わない道具の分まで読むからです。説明書には、その道具で何ができるか、どう頼めばよいかが書いてあります。道具を10個つなげば10個分、100個つなげば100個分を読みます。

弊社はSNS運用の仕事を18の役割に分け、役割ごとにAIの担当を置いています。企画・台本・分析・経理などです。どの担当も、呼ばれるたびに3つを読んでいました。①社内の決まりの文書②過去の記録の目次③つないでいる全部の道具の説明書。役割に関係なく、読む量は同じでした。

読む量は費用に直結します。弊社の利用記録では、AIの消費の9割超が書く側ではなく読む側でした。会話を短くしても、始める前に読む量が大きければ、呼ぶたびに同じ分がかかります。減らす場所は、会話の長さのほかにもう1つありました。

AIの担当18役割の全員が全部の道具の説明書と決まりの文書を読んでいた状態から、役割ごとに使う道具と共通の決まりだけを読む状態へ変えた前後を比べた図解

「持たせる道具」は、どう絞ったのか?

やったことは3つです。1つ目は、役割ごとに使う道具を名前で書き出したこと。台本の担当なら、文書を読み書きする道具と、原稿の保管場所を扱う道具です。書いていない道具は、その担当には渡りません。

2つ目は、決まりの文書を分けたことです。全体を取りまとめるAI用の文書は長く、お金や公開の手順まで入っています。担当には渡さず、全員が守る共通の決まり15項目だけを読ませました。この分だけで、読む量はおよそ8分の1になっています。経理の担当など、お金と公開の決まりを仕事で使う2つの役割には、元の文書を残しました。

3つ目は、渡さない道具を先に決めたことです。送信・投稿・会計への登録・自動処理の登録。この4つの道具は、どの担当にも渡していません。 担当は下書きまでを作り、実行は人か、取りまとめ役のAIが人の承認を取ってから行います。決まりの文章に「送らないこと」と書くより、道具そのものを持たせないほうが確かです。人に渡すときの同じ考え方は、触れない範囲を先に閉じる記事に書きました。

AIの担当に渡さないと決めた道具を、送信・投稿・会計への登録・自動処理の登録の4つで示し、担当は下書きまで、実行は人の承認のあとと線を引いた図解

絞ったのに、前より重くなったのはなぜか?

絞り方を間違えたからです。顧客への配信を組む担当で起きました。この担当は、配信文や配信の流れを作る道具を使います。使う道具を15個書き出して渡したところ、開始時に読む量が絞る前より2割ほど増えました。

原因は、書き込みができる道具の説明書の長さでした。読むだけの道具に比べて、作る・直す道具は注意書きが多く、1個でも大きい。数を減らしたつもりで、重い説明書ばかりを選んでいました。数を見ていて、量を見ていなかった。

そこで、この担当だけ書き方を逆にしました。使う道具を書くのをやめ、渡さない道具を書きます。関係のない道具と、送信・予約の道具を外す。残った道具は名前だけを知らせ、説明書は使うときに取り出させます。開始時に読む量は、絞る前の9分の1ほどになりました。

この書き方には弱点があります。あとから新しい道具をつなぐと、その担当に自動で渡ります。そのため、道具を足した日に外す一覧を見直す決まりにしました。読むだけで足りる担当は、使う道具を書く形のままです。道具を足したら、その担当を1回呼んで、開始時に読む量を測り直しています。

使う道具を書く方法と渡さない道具を書く方法を、書く中身・開始時に読む量・向いている担当・弱点の4行で比べた表の図解

人に残したもの、まだできていないことは何か?

人に残したのは、送信・公開・お金の実行です。担当のAIは道具を持っていないので、下書きの先へは進めません。機械の検査で実行を止める考え方は、指示を守らないAIを入口で止めた記事と同じです。

できていないこともあります。この絞り込みは、別の会社のAIに2回点検させ、2回とも不合格でした。指摘を受けて直しましたが、残っているものがあります。作ることと消すことが1つの道具に入っている場合、道具の単位では分けられません。配信を組む担当には、その道具が残っています。

測ったのも、開始時に読む量だけです。仕上がりが良くなったか、返事が速くなったかは比べていません。

明日から試せる、道具を絞る第一歩

いま使っているAIの設定画面で、つないでいる外部サービスの一覧を開いてみてください。メール・予定表・チャット・ファイル置き場などが並んでいるはずです。

その中から、この1か月で一度も使っていないものを切ります。次に、送信や投稿ができるものを確かめます。毎回の会話で要るものでなければ、使う会話でだけ入れるようにします。費用はかかりません。一覧を見ると、AIに持たせたままにしていた道具の数が分かります。

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