AI活用AI活用事例 #28

請求書の月末確認をAIに任せる——返してもらうのは要確認だけ

隼 編集部

YouTube運用とAI業務支援の担当

請求書の月末確認をAIに任せる——返してもらうのは要確認だけ

結論: 請求書まわりは、AIに「確認が必要なものだけ」を返してもらいます

月末と月初は、請求書の確認が重なります。請求書が届いているか。こちらから出す請求の準備は進んでいるか。入金はあったか。1つ終えても別の相手の確認が残り、資料や明細を何度も開くことになります。

弊社では、この3つの確認をAIに一覧にしてもらっています。返してもらうのは全部の書類ではなく、確認が必要な相手とその理由だけです。 請求書を取引先へ送る操作は、人が行います。

この記事では、3つの確認ごとに、AIへ渡すもの、返してもらうもの、止めている線を書きます。取引先名と金額は、すべて説明用の仮のデータです。

月末の請求書まわりの3つの確認について、AIに渡すもの、返してもらうもの、人が行うことを並べた図解

届いていない請求書は、どうやって見つけるのか?

答えを先に言うと、「今月届くはずの相手」の一覧と、届いた請求書の記録を照合します。届いたファイルだけを見ても、誰が足りないかは分かりません。足りない相手を見つけるには、今月誰から届くはずなのかを先に持っておく必要があります。

弊社では、外注先の一覧と、社内の管理アプリに登録した請求書を照合します。対象の月が付いた記録が見つからない相手をまとめ、Slack(社内のチャットツール)に知らせる設定です。

仮の材料で試します。今月の対象はA社、B社、C社の3社です。届いた記録には、A社(分類は「その他」)、前の月のB社があり、C社の記録はありません。これに、同じ請求書を2回入れ、対象にない取引先の記録も1件足しました。「今月の対象でまだ届いていない相手を出し、月が違うものや重複を分け、判断の理由もつけて」と頼みます。

返ってくる結果は、確認が必要な相手がB社とC社です。B社は名前が見つかっても、今月分が届いたことにはなりません。A社は分類が「その他」でも、対象月が付いた請求書があるので、提出済みに含めます。重複と対象外を分けるので、件数だけ合っているように見える間違いも確認できます。

実際の運用でも、登録された分類が違うために、提出済みの請求書を未着と判定したことがありました。 今は分類だけで絞らず、対象月が付いた記録全体と相手を照合する手順にしています。

確認は、月末と翌月の決めた日に行います。全員が提出済みなら、知らせません。何も変わっていない報告を、毎日読む必要はないからです。督促の連絡は、下書きまでにする相手と、事前に認めた条件で定型文を自動で送る相手を分けています。

届いた請求書の数字を、振込の前に人が元の請求書と見比べる方法はAIに請求書を読ませる記事に書いています。

自社から出す請求書は、何をAIに準備させるのか?

答えを先に言うと、準備させるのは請求書の発行ではなく、「今月請求する相手と、まだ決まっていない金額の一覧」です。毎月同じ相手でも、契約が終わったり、その月だけ金額が変わったりします。前の月の請求書をそのまま使うと、直すべきところを見落とすことがあります。

弊社には、月初に前月分の請求を準備する手順があります。継続している契約と金額のルールを確認し、請求する相手の一覧と、まだ決まっていない金額を出します。これだけで請求書が取引先へ送られることはありません。

仮の例です。A社は毎月5万円。B社は固定の3万円に変動額が加わりますが、今月の変動額はまだ分かっていません。C社は契約が終了しています。ルールは、前月分を月初に準備し、支払期限は対象月の翌月末とします。10月1日に準備するなら9月分で、期限は10月末です。「継続中の契約から今月発行する請求の準備一覧を作り、対象月と期限をつけ、不明な金額は埋めずに確認事項として残して」と頼みます。

結果は、A社が5万円で準備を進められる状態です。B社は固定額までが分かり、合計は未確定として変動額を確認する項目に残ります。C社は今回の対象から外れます。

大事なのは、B社を前の月と同じ金額で埋めないことです。 きれいに全部埋まった一覧より、どこが決まっていないかが分かる一覧のほうが、次にやることを選べます。分かった金額を返してから、請求書の下書きへ進みます。

実際の発行には請求書の発行サービスを使い、送信は人が行います。準備する仕事と、確定した内容を取引先へ送る操作は、分けています。

請求の準備で、前の月と同じ金額で埋める場合と、変動額を未確定として残す場合を比べた図解

入金の確認では、何を分けて返してもらうのか?

答えを先に言うと、「入金がない」と「まだ確認できない」を分けて返してもらいます。銀行のデータが古ければ、新しい入金が一覧に出ていないだけかもしれません。入金がないと決めつけると、確認を誤ります。

弊社では、請求の情報と、会計サービス側で確認できる銀行の入金明細を照合しています。支払期限を過ぎたものを調べ、確認が必要な内容を社内のSlackへ知らせます。相手への督促は、この処理では行いません。

仮の例です。確認できる入金明細は、昨日までとします。A社には5万円、B社には3万円を請求しています。A社には、請求と対応する番号が付いた5万円の入金があります。もう1件、3万円の入金がありますが、誰の請求に対応するのか分かりません。「請求と対応が確かめられる入金を照合し、金額が同じだけなら決めつけず、確認事項を残して」と頼みます。

結果は、A社が一致、B社が未確認です。名義の分からない3万円は、別の確認事項に残ります。B社を入金済みにするのも、未入金と決めるのも早い。まず、この入金がどの請求に対応するのかを確かめます。

ここで使った請求番号は、説明のための仮の条件です。実際の銀行明細に同じ番号があるとは限りません。本番では、名義、対象期間、金額など、照合できる情報に合わせてルールを決めます。元の明細に戻れる形で返してもらえば、一から探し直す必要がありません。

入金の確認は、毎朝調べる設定です。月末にまとめて見るより、期限を過ぎた請求に気づきやすくなります。同じ内容を毎日繰り返し知らせないルールも入れています。

仮の請求2件と入金2件を照合した結果。A社は一致、B社は未確認、名義の分からない入金は別の確認事項として残る表

どこまでが確認できていて、何が残っているのか?

この記事の結果は、仮のデータで頼み方と返り方を確かめたものです。取引先の一覧、金額、入金の明細は、説明のために作りました。実際の運用では、読ませる場所、動かす日、照合に使う情報が、会社ごとに違います。

自動で動かす設定は、使う環境に合わせて別に用意します。一度頼んだだけで、翌月も勝手に動くわけではありません。また、入金の照合は、請求と入金を対応づけられる情報が明細にあるかで、結果が変わります。

明日から試せる一歩

最初に試すなら、未着の確認が始めやすいです。仮の取引先一覧と受領済みの一覧があれば、実際のお金や送信に触れずに、返ってくる結果を確かめられます。

先に用意したいのは、今月誰から届くはずかという一覧です。仮の取引先を2つか3つ作り、いま使っているAIに貼って、次のように頼んでみてください。

「今月届くはずの相手と、届いた記録を照合して、まだ見つからない相手と理由を出してください。連絡や登録はしないでください。」

正しく分けられることを確認したら、実際に読ませるデータの場所と、動かす日を決めます。

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