結論: リピートは物理カードではなく、来店後の「間合い」で作ります
リピートが続かない店の多くは、ポイントカードを配ることをリピート施策だと考えています。私たちがある店舗ビジネスのリピートを設計したとき効いたのは、カードそのものではありませんでした——来店のあと、いつ思い出してもらうか。この「間合い」の設計でした。
ポイントカードを配ってもリピートが増えないのはなぜか?
答えを先に言うと、配ったカードは持ち歩かれないからです。財布に入れたまま忘れられ、次の来店時には手元にない。私たちも最初は紙のカードやスタンプを前提に考えていました。ところが現場では、カードを忘れた・なくしたという理由でスタンプが押せず、その一回でリピートの動機が途切れる。そこで会員証や特典をスマホ(お客様の手元のスマホ)側に寄せ、持ち物をゼロにしました。リピートの入口でまず外すべきは、お客様に何かを持ち歩かせる前提です。

リピートの分かれ目は、来店中ではなく「その後の間合い」
答えを先に言うと、リピートが決まるのは接客の満足度そのものより、その後どのタイミングで思い出してもらうかです。どんなに良い体験をしても、次に来る理由を思い出す前に日常へ戻ってしまえば、店は忘れられます。私たちが設計で軸に置いたのは、来店直後の御礼と、少し時間を置いてからの再来店の一声を、別のタイミングで届けることでした。気合いや割引の大きさで勝負するのではなく、間合いの設計で勝負する。大事なのは一度の連絡ではなく、来店から次までの時間をどう刻むかです。

配信のタイミングは、勘で決めない。日数で刻む
答えを先に言うと、私たちは「何日後に送るか」を勘で決めません。お客様が店を忘れそうな時期を見立て、その手前に一通入れます。来店直後は御礼だけにとどめ、再来店の声かけは少し離してから届ける。この日数を「20日後より30日後のほうが反応が良い」といった形で、反応を見ながら精査していきます。勘で送ると、早すぎて響かないか、遅すぎて忘れられているかのどちらかになりがちです。数字を勘で持たない考え方は、数字を任せる前に決めておくことにも書いています。タイミングは思いつきで決めず、離れそうな時期から逆算して置きます。

仕組みで作るリピートは、店舗以外にも効くのか?
答えを先に言うと、来店や購入のあとに続く関係を持つ商売すべてに効きます。私たちが自社の運用で徹底しているのは、成果を気合いや記憶に頼らず仕組みに落とすことです。同じ考え方で組んだ人の手を離れて毎日動いている仕事もあります。リピートも同じで、担当者の気配りだけに任せると人によってばらつきます。誰がやっても同じ間合いで声がかかる形にしておくと、リピートは属人的な努力から外れます。仕組みにするとは、うまくいった声かけの間合いを、次も再現できる形で残すことです。
明日から試せる一歩
まず、直近で来店したお客様が「次に来そうな時期」を1つ書き出してみてください。感覚で構いません。その時期の数日手前に、御礼とは別の一声を1通だけ送る予定を置く。これだけで、来店後を放置していた状態から、間合いを設計した状態に変わります。カードの用意も特別なツールもいりません。忘れられる前に一度だけ思い出してもらう、その1通から始めるのが、私たちがたどり着いた順番です。