HAYABUSA INC.
AI活用

「AI活用チェックリスト」を自社に当てたら——足りないのは4つでした

結論: チェックリストを自社に当てたら、直すべきは4つしかありませんでした

社内でAIの活用を進めていると、外部で公開されているAI活用の実践項目を50前後並べたチェックリストを目にすることがあります。今回、実際に自社の運用と1項目ずつ照合してみました。結果は、すでにできている項目が9割近くを占め、本当に手を動かす価値があったのは4つだけでした。

チェックリストを読んだ直後は「足りないものを増やさなければ」という気持ちが先に立ちます。私たちも最初はそうでした。しかし実際に仕分けてみると、増やす作業より「今のままでよい」と判断する作業のほうが、ずっと大きな比重を占めていました。

チェックリストを自社の運用と照合した結果、9割近くがすでにできており本当に価値があったのは4つだけだったことを示す図解

チェックリストを見た瞬間、なぜ「増やす」方に手が伸びるのか?

答えを先に言うと、チェックリストは「持っていないもの」を可視化する形式だからです。理由はシンプルで、箇条書きを上から下まで読むと、自然と「自分にないもの探し」になります。読み終える頃には、増やすことが仕事だと錯覚しています。

弊社の最初の反応も同じでした。チェックリストを読みながら「これはまだ作っていない」「これも足りない」と、頭の中でタスクが積み上がっていく感覚がありました。ここで一度手を止めて、先に照合表を作ることにしました。チェックリストの項目を1つずつ、①すでにできている②部分的にできている③できていない、の3つに仕分ける作業です。

チェックリストを増やす前提で読む場合と仕分けてから動く場合を、探し方・作業の重複・気づくタイミングの4項目で対比した図解

仕分けを先にやらないと、すでにある仕組みの上に似たような仕組みをもう1つ作ってしまう、という無駄が起きます。実際、着手前に照合表を作らなければ、チェックリストの項目のいくつかを重複して作りかけていたはずです。増やす前に、まず今の状態を仕分ける——これが最初に決めたことでした。

実際に1項目ずつ照合すると、何が見えたのか?

答えを先に言うと、チェックリストに載っている項目の多くは、すでにチェックリストより踏み込んだ形で自社に存在していました。理由は、チェックリストが示すのは「やり方の入口」ですが、弊社は同じ入口をすでに運用の中で通り越し、その先の形まで育てていたからです。

例えばチェックリストには「決まった時間に自動で作業を走らせる」という項目がありました。弊社ではこれはすでに数十本規模で稼働しており、実行順序と依存関係を1枚の地図で管理する段階まで進んでいました。同様に「作業の結果を別のAIにチェックさせる」という項目も、弊社では社外の別のAIに公開前レビューをさせる二重体制として、すでに常設の仕組みになっていました。この判断軸はAIに勝手にやらせない操作を「事前承認」と「後戻り」で決めた記事に書いた線引きと地続きです。

チェックリストの項目を「持っているか」ではなく「チェックリストより先に進んでいるか」という基準で読み直すと、自社の運用を測る物差しに変わりました。照合を始める前には想定していなかった収穫。仕分け作業そのものが、自社の運用を見つめ直す機会になりました。

見つかった「本当に足りない」4つには、何が共通していたのか?

答えを先に言うと、4つのうち新しい仕組みとして作ったのは1つだけで、残りは「作る」以外の判断でした。1つ目は、客先とのやり取りを再利用できる形で蓄積する仕組みで、これは実際に新しく作りました。2つ目は、自社が実際にやってきたことを発信し直す取り組みで、これは新しい仕組みではなく既存の発信の枠に乗せる形にしました。3つ目と4つ目は、必要性は認めつつ今は着手しないと決めました。理由は、片方は優先度が他より低く、もう片方は前提となる外部の条件がまだ整っていなかったためです。

ここで気づいたのは、チェックリストとの照合は「作る作業」を増やすためのものではなく、「作る・乗せる・保留する」を仕分ける作業だということでした。チェックリストの項目数だけを見ると4つは少なく見えますが、残り46項目について「今のままでよい」と判断できたことのほうが、実際には価値がありました。判断にかけた時間は、新しく仕組みを1つ作るより短く済んでいます。

照合を仕組みにするには、何から始めればよいのか?

答えを先に言うと、チェックリストを読んで終わらせず、表にして仕分けることです。持っているか、部分的か、足りないか。この3列だけの表を作るだけで、次に何をすべきかが自然に絞り込まれます。

弊社が今回作った表は、項目・現状・判断の3列だけの単純なものでした。判断列には「作る」「乗せる」「保留」のいずれかしか書いていません。この単純さが効きました。凝った評価軸を作ろうとすると、表を作ること自体が目的化してしまいます。着手前に完了の姿を決めてから動く、という考え方はAIへの指示の出し方を変えた記事で書いた手順と同じ形です。

もう1つ効いたのは、保留にした項目を「見送り」ではなく「条件が揃ったら着手」として残したことです。前提となる外部の条件が変われば、保留は着手に変わります。チェックリストとの照合は一度きりの作業ではなく、定期的にやり直す前提で残しておくのがよいと考えています。

チェックリスト全項目を3列で仕分けし3択で判断すると、最終的に動くべき4項目だけが残る流れを示した図解

今日から試せる一歩

手元にある「AI活用」「業務効率化」のノウハウチェックリストを1つ、開いてみてください。それぞれの項目に「持っている」「部分的」「持っていない」の3択だけ書き込んでいく。全部読み終えたときに残るのは、増やすべきタスクのチェックリストではなく、すでに持っているもののチェックリストのはずです。持っていないものだけを数えるより、こちらのほうが次に何をすべきかを教えてくれます。

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